研究課題/領域番号 |
22570078
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
岡田 龍一 徳島文理大学, 香川薬学部, 研究員 (20423006)
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キーワード | 記憶 / 学習 / 動機 / 脳 / 昆虫 / 電気生理 |
研究概要 |
同じタスクを学習しても動機(モチベーション)によって学習効率や記憶の保持期間が異なるが、なぜそのようなことが生じるのかについての神経メカニズムはわかっていない。ミツバチの8の字ダンスによるコミュニケーションにおいて、巣内のミツバチはダンスバチが持ち帰った蜜に残留する餌場のにおいを記憶している。よって、コロニー内にはダンスバチとの接触度合いにより、積極的に記憶するミツバチ、非積極的に記憶するミツバチ、無意識に記憶しているミツバチが存在する。このことに着目し、それぞれのミツバチにおいて記憶したにおいに対する脳の神経活動を比較し、学習時の動機によって記憶・学習効率の違いを生み出す神経メカニズムを解明することを目的とする。 今年度は、昨年度から引き続き、電気生理学実験によって無意識的に学習したミツバチから脳の神経活動記録を得た。これらのにおいに対する神経応答と行動との関係を解析したところ、におい学習中、学習したにおいに対する神経応答が減弱することを見つけた。特に、学習関連ニューロンであるPE-1ニューロンでは、初めて学習行動を示す訓練ではなく、学習成立直後の訓練での神経応答で有意な減弱が観察された。この減弱は、におい応答の開始直後500ミリ秒以内の応答で顕著であった。一方、非PE-1ニューロン群では、減弱はまったく見られなかった。現在この応答の減弱が学習中の自発発火中に形成されるという仮説を立て、自発発火の解析を進行させているところである。さらに、実験の例数を増やすために同様の実験を平行して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
天候が理由であると推察されるが、23年度はミツバチの状態が良くなく、実際にコロニーのひとつは年度の早い段階で死滅し、実験に利用できるようなミツバチを得るのが難しかった。さらに、データ解析のプログラムに使用予定であったソフトの一部を、次年度からの解析手法を考慮に入れて効率的なものに改変する必要が出た。それを自作したため、今年度は予定よりも研究計画がやや遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
実験の手技や方法自体に特別な問題があるわけではないので、23年度の遅れを取り戻すために実験のペースをあげる。また、23年度に発見した神経応答の減弱の発見により、本課題において重要な着眼点を得たと考えているので、この減弱に着目しながら、解析を行う。
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