研究課題
近年の分子生物学の発展により、被子植物の多くの系統群で、広域分布種がいくつかの地域限定的な種(地域固有種)と姉妹群を形成することが明らかになってきた。それは、広域分布種がそれぞれの地域で地域固有種に分化した結果生じたものであると推定されている。広域分布種と複数の地域固有種が存在する場合、地域固有種は、1)いずれも広域種から独立に派生した(分断型)のか、2)広域種または広域種に由来する別の種が分布を拡大する過程で地域固有的な別種になった(分散型)のかのいずれかである可能性が高い。しかしこれまでに解析された分類群は少なく、どちらがより一般的な現象なのかはまだ明らかになっていない。バラ科キジムシロ属キジムシロ群には、広域種および広域種から派生したと考えられる地域固有種が多く知られており、この問題を解明するのに適当な種群であると考えられる。本研究は、キジムシロ群に含まれる広域分布種とそれらから派生したと考えられる地域固有種について、形態学的、細胞遺伝学的、分子遺伝学的解析を行ない、種分化の過程を考究することを目的とする。さらに、研究結果を反映したキジムシロ群の分類学的再検討を行なう。初年度である平成22年度は、キジムシロ群9種:キジムシロ、ミツバツチグリ、ヒメヘビイチゴ、ツルキンバイ、テリハキンバイ、エチゴキジムシロ、エチゴツルキジムシロ、ヒメツルキジムシロ、ツルキジムシロについて、採集をおこなった。持ち帰った材料について、現在、外部形態の比較、DNAの塩基配列の解析、染色体の数・核型の解析をおこなっているところである。
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