研究概要 |
本研究は、バラ科キジムシロ属キジムシロ群(Potentilla fragarioides goup)に含まれる広域分布種と、それらから派生したと考えられる地域固有種について、形態学的・細胞遺伝学的・分子遺伝学的解析をおこない、種分化の過程を考究することを目的とする。 平成23年度は、4月から7月にかけて、国内においては車を使った現地調査をおこなった。また、韓国東部および中国(浙江省、江西省)に赴き、現地調査をおこなった。現地では、形態学的解析用サンプル、分子遺伝学的解析用サンプルを採取するとともに、生植物をビニール袋に入れ持ち帰った。国内においては、キジムシロ、ミツバツチグリ、ヒメヘビイチゴ、ツルキンバイ、テリハキンバイ、エチゴキジムシロ、エチゴツルキジムシロ、ヒメツルキジムシロ、ツルキジムシロを採集した。また国外では、中国浙江省においてP.freyniana ver. sinica. Migoを、韓国においてビロウドキンバイ(P.koreana H.Ikeda & Im)を採集した。また、中国の南京植物園と北京植物園において、標本の調査をおこなった。 現在、外部形態の比較、DNAの塩基配列の解析、染色体の数・核型の解析をおこなっているところである。平成23年度に公表した知見としては、キジムシロ群に関係するネパール産の種群を含め、Flora of Nepal第3巻を編集した(Watson, Ikeda et al. 2011)。また、野外調査の過程で見いだされた新知見の報告をおこなった(Ohashi, Ikeda et al. 2011,井手ほか2011)。また、東京大学植物標本室における標本調査の過程で見いだされた新知見を発表した(矢野・池田ほか2011,Ikeda et al. 2011,黒崎・池田ほか2011a, 2011b)。それらに関する学会発表もおこなった(矢野・池田ほか2011,赤井・池田ほか2011,大橋・池田ほか2012,福田・池田ほか2012,矢野・池田ほか2012)。
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