研究概要 |
本研究は、バラ科キジムシロ属キジムシロ群 (Potentilla fragarioides goup) に含まれる広域分布種と、それらから派生したと考えられる地域固有種について、形態学的・細胞遺伝学的・分子遺伝学的解析をおこない、種分化の過程を考究することを目的とする。 平成24年度は、4・5月および10・11月に野外調査を行い、キジムシロ、ミツバツチグリ、ヒメヘビイチゴ等、キジムシロ群に含まれる各種を採集した。 現在は、形態学的・細胞学的・分子遺伝学的解析を進めている。これまでに、1)中国でミツバツチグリの変種 (var. sinica) として記載されたものは、形態的・遺伝的にミツバツチグリと異なり、別の種として取り扱うのが妥当だと考えられた。2)ヒメツルキジムシロはツルキジムシロとテリハキンバイの雑種と考えられていたが、独立した種と考えられた。3)ビロウドキンバイとキジムシロとの雑種、ヒメキジムシロとテリハキンバイとの雑種を見出した。今後はさらにキジムシロ群の種間関係を明らかにし、この群における種分化と分布の変遷について考察を加える予定である。 平成23年度には、野外調査の過程で見出された知見について報告を行った(Ohashi, Ikeda et al. 2012, Fukuda, Ikeda et al. 2012, Ikeda et al. 2012, Yamamoto, Ikeda et al. 2012)。また、東京大学植物標本室における標本調査の過程で見いだされた新知見を発表した(Ikeda et al. 2012, Ohashi, Ikeda et al. 2012)。それらに関する学会発表も行った(赤井・池田 2012, 池田ほか 2012, 山本・池田ほか 2012, 福田・池田ほか 2012, 矢野・池田ほか 2012)。
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