研究課題
日本沿岸産のクモダコOctopus longispadiceusから6種の未記載種のニハイチュウを、ウスベニコウlorigeraから1種の未記載種のニハイチュウを発見した。クモダコから発見されたニハイチュウは、うち4種がDicyemennea属で2種がDicyema属のニハイチュウであった。Dicyemennea sp.1は2ミリほどの中型の種で、体を構成する体皮細胞の数は19、体の前部が枝分かれし不定形となる。滴虫型幼生の細胞数は39。Dicyemennea sp.2は5ミリを越える大型種で、体皮細胞の数は32-38で、体の前部は扁平で円盤のような形を呈す。滴虫型幼生の細胞数は37。Dicyemennea sp.3は5ミリにいたる大型の種で、体皮細胞の数は34-37、体の前部は円い。滴虫型幼生の細胞数は39。Dicyemennea sp.4は1ミリほどの小型の種で、体皮細胞の数は23、体の前部は円い。Dicyema sp.1は2ミリほどの中型の種で、体を構成する体皮細胞の数は22、体の前部は円いドーム状を呈す。滴虫型幼生の細胞数は37。Dicyema sp.2は2ミリほどの中型の種で、体を構成する体皮細胞の数は15-17、体の前部は円いドーム状を呈す。滴虫型幼生の細胞数は37。クモダコでは、これら6種のニハイチュウが同時に発見されることはなく、通常2-3種のニハイチュウが発見される。なかでもDicyemennea sp.1とDicyema sp.1の2種は優先的であった。ウスベニコウイカから発見されたニハイチュウは、Dicyemennea属に属し、体長2ミリほどの中型のニハイチュウである。体を構成する体皮細胞の数は28-36で、体の前部は円錐状で前端は円い。このウスベニコウイカの腎嚢には、ニハイチュウの他にクロミディナ(繊毛虫)がみられ、たびたび両者が同時に発見された。
2: おおむね順調に進展している
分子系統解析によって、ニハイチュウと頭足類との共進化の実像はみえてきた。しかし、系統解析に用いたニハイチュウの種の記載が進まず、論文としてまとめることができないでいる。
系統解析に用いたニハイチュウの種を優先して記載を進める。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Journal of Parasitology
巻: 97 ページ: 265-269
10.16-45/GE-2577.1
巻: 97 ページ: 596-601
10.1645/GE-2472.1
Zootaxa
巻: 3011 ページ: 27-37
1175-5334