本年度は、予備的研究で行ったヒトの21番染色体上のマイクロサテライト遺伝子座の検索を発展させ、ヒトとチンパンジーの全常染色体について検索を行い、マイクロサテライトの塩基の繰り返し単位の長さ、モチーフごとにその解析結果をまとめた。さらに、オランウータンのゲノム配列を加えた検索を行っている。ヒトとチンパンジーのみを用いた場合とはゲノム上の検索領域が異なるので、2種のみを用いた検索結果との比較を行い、検索領域の性質の違いなどについても考慮し、結果の違いについて原因の検討を行っている。また、ヒトとチンパンジーのゲノム配列は精度が異なるので、種間の遺伝子座数の違いについてゲノム配列の精度が与えているかについても、配列データの質の悪い領域を除いたり、精度の異なる2つのチンパンジーのゲノム配列の結果を比較することによって、検討を始めている。 マイクロサテライトデータの進化学的解析に用いることのできるソフトウェアのWindows版を作成し、web pageを作成してダウンロードできるよう公開している。またこのソフトウェアを紹介する論文を学術雑誌に発表した。Web pageにはすでに2000件を超えるアクセスがあり、多くの使用者からの質問なども受けつけている。このソフトウェアのweb版の作成の準備を現在進めているところである。数値計算の結果の表示は比較的簡単に行えるが系統樹の表示、その形状の変更をweb上で行うための処理についての検討を行っている。
|