研究課題/領域番号 |
22570093
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
竹崎 直子 香川大学, 総合生命科学研究センター, 教授 (30398036)
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研究分担者 |
田村 浩一郎 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (00254144)
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キーワード | マイクロサテライトDNA / ゲノム進化 / 集団系統樹 |
研究概要 |
昨年度までにはマイクロサテライト遺伝子座の探索をヒト、チンパンジーのゲノム配列の共通する領域において行ったが、本年度はさらにそれらがオランウータンと共通する領域を同定し、探索を行った。この結果を精査し、マイクロサテライト遺伝子座の塩基の繰り返しの単位(1-5bp)ごとにこれらの種間で共通に存在するマイクロサテライト遺伝子座の割合、そのうち、塩基の繰り返し数が種間で変化していない遺伝子座の割合を求め、種間の分岐時間を考慮し、これらの割合が指数関数的に減少することを示した。また、オランウータンをアウトグループとして、遺伝子座が、ヒト、チンパンジー、これらの共通の祖先、それぞれの系統で出現および消失した遺伝子座数、遺伝子座の出現、消失の速度の推定を行った。またヒト、チンパンジー、オランウータンに共通して存在する遺伝子座において、塩基の繰り返しの増加数、減少数をそれぞれの系統について推定し、塩基の繰り返しの増加、減少の速度を推定した。これらの結果をもとに論文を作成中である。 マイクロサテライト遺伝子座などの対立遺伝子頻度を用いて集団間の進化的関係を推定するコンピューターソフトウェアの開発を行っているが、このweb版の開発を行っている。本年度、このためのサーバーを購入、準備を行った。webのinterfaceとなるhtmlの概略はこれまでに設計がほぼ固まっているが、計算処理を行う個々のプログラムの入出力のやりとり、web画面での表示、編集などをどう行うかの詳細について、現在検討を重ねており、来年度の早い時期に完成させる見通しである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までにヒト、チンパンジー、オランウータンのマイクロサテライト遺伝子座め探索を終え、種間でのマイクロサテライト遺伝子座の変化のパターンについて必要な解析をほぼ行うことができ、結果のまとめを行うことができる段階にきている。また、集団系統樹作成ソフトウェアについても、web版の開発においても、研究期間中に完成が見込まれる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト、チンパンジー、オランウータンのマイクロサテライト遺伝子座の進化のパターンについてまとめ、論文を作成する。当初、ショウジョウバエのゲノム解析も予定していたが、マイクロサテライト遺伝子座の変化のパターンは複雑であり、塩基の繰り返し単位の長さだけでなく、繰り返し単位の塩基構成や繰り返し数によっても異なるため、これらを考慮した詳細な解析を行う。集団系統樹作成プログラムのウェブ版を完成させ、なるべく早い段階で公開できるようにする。
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