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2011 年度 実績報告書

島嶼平衡モデルに基づく中琉球産爬虫両生類の洋上分散能力の推定

研究課題

研究課題/領域番号 22570094
研究機関琉球大学

研究代表者

戸田 守  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (40378534)

キーワード分類学 / 生物地理学
研究概要

奄美大島と加計呂麻島、沖縄諸島の藪地島、瀬長島、久高島、岡波島で野外調査と標本採集を実施したほか、協力を仰げる地元の人からも情報を収集し、各島における爬虫両生類の分布の有無をとりまとめた。このうち奄美大島以外の島は潜在的な分散のソースと想定される奄美大島あるいは沖縄島からの距離が非常に近く、面積に比して種数が多いことが期待される島である。特に、藪地島、瀬長島、岡波島の3島は沖縄島からの距離が1km未満で、そこに分布する種を明らかにすることは「面積」と「距離」の2変数から各種の分布の有無を説明しようとする本研究にとって重要である。調査の結果、瀬長島では9種が確認され、同程度の面積を持つ他の島と比べて種数は明らかに多く、上記の予想を支持した。一方、岡波島ではミナミヤモリただ一種しか確認されなかった。岡波島は、沖縄島からの距離は近いが、面積は僅かに0.01平方kmしかない。これまで、面積が小さい島でも分布する種としてミナミヤモリのほかにオキナワトカゲがあったが、岡波島に後者が分布しないことから、このトカゲの集団維持に必要な最低島面積について見当がついたといえる。これらの結果を加えることにより、島々での分布データのとりまとめはいったんは完成としたが、予備的解析の結果、今度は遠くて小さい島の数が限られていることが、「いる島」と「いない島」を分ける判別関数の信頼性を上げるための一つの障害になっていると推測された。そのため、今後、速やかに慶良間諸島の西方や久米島の東方の島での調査結果を追加し、分布データを完成させる必要がある。
一方、トカゲ属とヤモリ属の種に対する集団遺伝的解析のためのマイクロサテライト・マーカー開発についは、トカゲ属の検体を使ってさらに新しい遺伝子座の開発に取り組んだほか、すでに設計したプライマー・ペアーのPCR条件の検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、島嶼における爬虫両生類の分布データのとりまとめを完了し、そのパターンから各分類群の分散能力の推定までを行う予定であったが、それが完結していない。その理由は、いったんは完成とした分布データに基づいて予備解析をしたところ、「いる島」と「いない島」を分ける判別関数の信頼性を確保するためには、遠くて小さい島の数が限られていることが障害になっていることが示唆されたことによる。秋季以降は効率よく野外調査を行うことが出来ないため、この点が、進展状況が遅れている原因になっている。

今後の研究の推進方策

爬虫両生類各種の分布パターンに基づく分散能力の推定精度を上げるため、調査対象として、遠くて小さい島々として慶良間諸島の西側の小島嶼と久米島の東方の島々で野外調査を行い、分布データを充実させる。これまでの教訓を活かし、今後は、春季から夏季にかけて野外調査を実施し、分布データのとりまとめを完了する。データセットが構築され次第、速やかに解析を行い、その成果のアウトプットを目指す。一方、この解析から得られた推定の妥当性を評価するため、一部の分類群について、マイクロサテライト分析を行い、集団遺伝学的な視点から分散能力の再評価を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 渡嘉敷村の中島およびハテ島の爬虫類相2011

    • 著者名/発表者名
      栗田隆気,角田羊平,戸田守
    • 雑誌名

      Akamata

      巻: 22 ページ: 21-27

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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