中国のシロヨメナ群は1種11変種に分類されているが,本研究およびこれまでの知見により約3分類群にまとめられることになった.一方,日本のシロヨメナ群には6種4変種が認められ,放散的種分化はむしろ日本で顕著に起こったとみなすことができる.これは大陸では地形が連続的なので遺伝的交流が妨げられない広分布種が存在するのに対し,日本の地形の複雑さが遺伝的交流を妨げて種分化を促進した結果であると考えられる. これらシロヨメナ群の分子系統解析は難航しているが,その理由は各分類群間の遺伝的差異が小さいためであり,そのこと自体が,シロヨメナ群が比較的最近,急速な放散的種分化を遂げた証拠とみなすことができる.
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