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2010 年度 実績報告書

ゲノム系統学の方法と実践

研究課題

研究課題/領域番号 22570099
研究機関統計数理研究所

研究代表者

長谷川 政美  統計数理研究所, 名誉教授 (60011657)

研究分担者 足立 淳  統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (30370092)
曹 纓  統計数理研究所, モデリング研究系, 助教 (20370091)
キーワード分子系統学 / ゲノム / 最尤法 / モデル / 分子進化 / グネツム / AIC / UCA仮説
研究概要

グネツム科、マオウ科、ウェルウィチア科の3科(それぞれの科は1つの属しか含まない)からなるグネツム目(時には門レベルに分類されることもある)という種子植物のグループは、その系統学的な位置づけをめぐって長い間植物系統学上のなぞであった。形態学からは被子植物の根元に位置するという説が有力であったが、分子系統学からは裸子植物、特に球果植物に近縁であるという説が有力になってきた。ところが、球果植物のどのグループに近いかについては、依然としてはっきりしなかった。この問題の解決は、種子植物の初期進化を理解する上で重要である。われわれは、葉緑体ゲノムデータの解析によりこの問題の解決を目指した。予備的な解析では、グネツム目はクリプトメリアという非マツ目球果植物と単系統になるという系統樹が強く支持された。しかしながら、より詳しい解析によって、進化速度の不均一性、分子レベルの収斂進化などにより、予備的な解析では間違った系統樹が強く支持されていたことが明らかになった。このことは、分子系統学の幅広い分野に対して警鐘を鳴らすものであり、分子系統樹推定法の今後の新たな発展の第一歩となるものである。
地球上のすべての生物が単一起源をもつという仮説(Universal Common Ancestor ; UCA仮説)は、様々な状況証拠によって支持されているが、未だに直接的な証拠はない。D.Theobald(2010)は赤池情報量規準AICを用いたモデル比較によって、UCA仮説を支持する決定的な証拠を得たという論文をNature誌(465,219-222)に発表した。ところが彼のモデル比較にはグネツム目の解析でわれわれが示した収斂進化の可能性が考慮されていない。われわれは収斂進化の可能性や配列並列によるモデル選択の偏りなどについて検討し、UCA仮説は未解決の問題であることを示した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The position of Gnetales among seed plants : overcoming pitfalls of chloroplast phylogenomics2010

    • 著者名/発表者名
      B.Zhong, T.Yonezawa, Y.Zhong, M.Hasegawa
    • 雑誌名

      Molecular Biology and Evolution

      巻: 27 ページ: 2855-2863

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Was the universal common ancestry proved?2010

    • 著者名/発表者名
      T.Yonezawa, M.Hasegawa
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 468 ページ: E9

    • 査読あり
  • [図書] 新図説・動物の起源と進化2011

    • 著者名/発表者名
      長谷川政美
    • 総ページ数
      207
    • 出版者
      八坂書房

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公開日: 2012-07-19  

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