生物多様性研究の一環として、日本に生息する鳥類の寄生虫相を調査し、寄生虫標本および形態学的観察データ、および寄生虫の遺伝子データの蓄積を行なうとともに、鳥類寄生虫相について分布・生態と併せて考察し、さらに、従来の日本産鳥類の寄生虫相データを整理して、データベースを作製し公開することを目的として研究を行なった。 1.鳥類検体の収集:山階鳥類研究所 神奈川県自然環境保全センター・神奈川大学などから譲渡された、事故・有害鳥獣駆除などによって死亡・収集された鳥類検体51種100検体について検査を行なった。 2.寄生虫の採集・標本作成・形態学的観察:生鮮あるいは冷凍保存検体を解剖して寄生虫類を採集し、所定の方法で固定・染色・透化・封入して標本を作製した。それらの標本を顕微鏡、撮影装置および画像解析ソフトを用いて観察・計測し同定を行なった。その結果、日本国内では初報告、あるいは新宿主報告となる属・種を含む吸虫類21種、条虫類9種、線虫類21種、鉤頭虫類7種(不明種を含む)が検出・同定された。 3.寄生虫の遺伝子解析:同定が完了した寄生虫類の一部については、京都大学・霊長類研究所にて遺伝子解析中で、完了次第、遺伝子データベースに登録予定である。 4.過去の研究成果の整理・公開:過去に日本の野生鳥類から報告された寄生虫種のデータ(1552件、鳥類213種・寄生虫類651種)をデータベースソフトFileMaker Proを用いて入力・整理し、目黒寄生虫館ホームページにて公開している(13.備考の項を参照)
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