1.LKM11クレードを検出するための効率的なツールの開発、LKM11クレードの定義の確立 2.湖沼・淡水・深海環境からの幅広いサンプリングと各種PCR手法によるLKM11クレードの検出法の効率化 3.クローニングまたはDGGE法による微生物群集構造および多様性解析、を実施予定であった。 1.では、既知のLKM11プライマーの増幅範囲について検討を行った結果、湖沼性の一部系統のみ増幅可能であることがわかったため、新たに深海環境由来の系統群を増幅するプライマーの作成を行った。LKM11を含む深海サンプルが入手でき次第、その有用性を検証する。2.では宮崎県御池、鹿児島県藺牟田池、住吉池において底泥のサンプリングを試みた。宮崎県・鹿児島県境に位置する大浪池、大幡池、白紫池、六観音御池、不動池のサンプリングを予定していたが、新燃岳噴火により断念した。3.では、藺牟田池の泥炭堆積物から抽出したDNAより菌類特異的プライマーを用いて、LKM11クレードの検出を試みたが、Dikaryaに属する菌類クローンのみが見出され、そのなかには、Fusarium oxysporumなどが含まれていた。F.oxysporumは脱窒能を有する真菌として知られているが、その発現には酸素の抑制が必要であることがわかっている。湖沼底泥環境は真菌が脱窒を行う際に必要とする微好気環境が確保されている可能性があり、より詳細な調査が期待される結果となった。また深海性LKM11クレードの調査の過程で、深海菌類とLKM11の多様性・応用可能性が明らかになったので、論文として発表した。
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