研究課題/領域番号 |
22570106
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
土田 真二 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術研究主任 (30344295)
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キーワード | 十脚目 / 熱水噴出孔 / 遺伝的多様性 / 幼生 / 系統 / 海山 / 伊豆・小笠原島弧 / マリアナ島弧 |
研究概要 |
平成22年7-8月にかけ、無人探査機「ハイパードルフィン」調査潜航により、日光海山で採集したトウロウオハラエビとユノハナガニの成体を平成23年度も引き続き飼育継続した。その結果、ユノハナガニで1回、トウロウオハラエビで3回の抱卵、幼生のふ化を確認した。ユノハナガニでは、ふ化直後のゾエアI期幼生を水温20-25度で飼育したが、次のステージに進む前に死滅してしまった。また、トウロウオハラエビでは、水温15-20度で飼育したところゾエアIII期ですべて死滅した。今後とも成体の飼育をさらに継続し、産卵、幼生のふ化を試みて、水温や塩分濃度など好適な環境条件を推定するための実験を継続する。 海洋研究開発機構が管理する生物サンプルデータベースや過去の伊豆・小笠原-マリアナ島弧における調査航海により得られたデータをもとに、熱水噴出孔生物群集の組成を比較した。合計12サイトの出現情報からJaccard指数をもとめ多次元尺度法により各サイト間の類似度を比較すると、伊豆・小笠原島弧の南部やマリアナ島弧北部の水深が浅い(水深500m付近)サイトでは高い類似度を示したが、必ずしも地理的な距離と群集の類似性に相関がみられず、近接するサイトでも類似度が低い場合もあった。今後は定量的なデータも考慮することにより、精度の高い解析を行う予定である。また、伊豆・小笠原-マリアナ島弧に広く分布するオハラエビ属(Alvinocaris)の一種が、形態的にはこれまでに報告がない種であることが判明した。形態的には大きく異なるものの、COIの部分配列の分析結果からは既知種と判別できないという結果になった。mtDNA遺伝子だけではなく、ITSなど核遺伝子の部分配列も解析し、未記載種であるか形態形質の変異であるかを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度に、日光海山で飼育実験用の新鮮なサンプルを取得する予定であったが、航海日程が確保できず新しいサンプルが得られなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在でも、平成22年度に採集したサンプルが継続して飼育できているため、現有の試料を有効に活用するとともに、平成24年度には予定されている調査航海などを利用して新鮮なサンプルを得て、本研究を推進する予定である。
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