出芽酵母PRE6-RPT1融合株YYS676およびYYS1235株の大量培養を行い、26S粒子を含む精製試料を得て結晶化を行った。微結晶は得られるものの中分解能(約4Å)を与える結晶は得られなかった。この知見より熱安定性のある耐熱性酵母からの26S試料の遺伝子改変による作成、精製を進めた。これの20Sおよび26Sプロテアソームも上記手法と同様に精製、結晶化を行い20Sについて回折データを得て解析を進めた。26S試料については有意な微結晶はまだ得られていない。耐熱性の鍵となる構造について20S粒子の構造解析を進め、通常株20S粒子との立体構造の比較を行っている。さらに副次的な研究成果として蛋白分解機能の制御による抗がん作用を見出したので、薬剤との複合体解析も進めた。これまでの活性阻害剤とはことなる結合位置で、かつサブユニット接触領域での結合箇所であったため、20S全体構造を解析してはじめて明らかになった結果であった。これに関して現在投稿論文を準備している。 26S全体粒子の両端に結合している19S調節因子の結合状態・形状を解析するため、YYS676株からの26S粒子および両端因子の精製を行った。26S全体部分と20S部分および調節因子(蓋部領域)の試料を得て溶液散乱測定を行った。20S触媒部分のみの溶液散乱測定と形状解析を行って、結晶構造からの情報と溶液散乱からの形状解析の整合性を確認した。この方法によって26Sの非対称概念モデルを解析した。さらに原子間力顕微鏡による動態解析の準備を進めた。また基質であるユビキチン化蛋白質の大腸菌による発現系を使い、分解される蛋白質部分の調製を行って、混合・分解系の複合体の調製を行った。
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