タンパク質の核磁気共鳴(NMR)シグナル解析データは3次元構造に関する情報に加え、リガンド相互作用、動的ゆらぎ状態など創薬に関する重要な情報を与える。本年度における研究では研究代表者が既に完成している汎用的なサブルーチン群を用いることでNMRシグナル解析を全自動化する以下のプログラム群を開発した:1.ホモロジーモデリングを統合的に実行するmodel_robot、2.化学シフトの推定プログラムの出力を統合するプログラム、shift_robot、3.磁化移動グラフを自動構築するgraph_robot。ニューラルネットによるNMRシグナルの自動検出を高感度高精度に実行するプログラム、spec_robotは平成22年度中に完成することが出来なかったが、主成分分析ルーチンと組み合わせたプログラムとして平成23年度前半で完成したい考えである。また平成22年7月には高性能GPU演算ユニットを搭載したマルチコアワークステーションを導入し、CUDAによる極めて高い計算性能もつ開発環境を構築した。これにより高度な最適化計算を必要とする(焼きなまし法)アニーリング法による連鎖帰属ルーチンの開発を開始することが出来た。これらのルーチンはanneal_robotに搭載予定であり、完成に近い状態となっている。平成23年度においてこれらのプログラム群を主導による解析では難度極めて高いの実際の解析データに適用を試みて、更なる実用化に向けた開発を行う予定である。
|