研究課題
本研究の目的は、マルチドメイン蛋白質の構造と機能の相関を理解することが目的である。このうちAAA-ATPaseは中央のAAAドメインが駆動力となり、N末端の基質結合部位とC末端の制御領域とで、機能多様性を担っていると考えられている。またN末端ドメインとAAAドメインの間には、いわゆる天然変性タンパク質領域と考えられる100~150残基程度のリンカーが挿入されている分子も多く、その部分の柔軟性も分子機能に重要な役割を果たしている可能性がある。本年度は、膜骨格ESCRT-III複合体を切断する酵素Vps4の基質であるCHMP1aについて研究を行い以下の成果を得た。(1) CHMP1aのC末端は、Vps4-MITドメインに結合していなくてもαヘリクス構造をとっており、従来予測されていた「天然変性領域」ではないこと、(2) CHMP1aとVps4-MITの結合親和性は、MITドメインに結合するCa2+イオンの影響は受けないこと、(3) 高い立体構造類似性にもかかわらずVps4-MITへのCa2+イオン結合部位は、Kp60-vMITのそれとは1が異なること、がわかった。さらに、(4) ヒトに2種類あるVps4においてVps4aとVps4bではペプチドに対する親和性が大きく異なること、(5) Vps4b-MITはCa2+依存的に膜成分であるホスファチジルイノシトールリン酸に結合することがわかった。一方、微小管切断酵素katanin p60の生理機能を阻害する目的でKp60-vMIT(N末端ドメイン)に結合する人工ペプチドの探索にも成功し、新規の人工的ペプチド4種を得た。このペプチドの結合部位をNMRにより検証した。ペプチドのうちの一つは、Kp60のアダプター分子katanin-p80との界面付近に結合することがわかった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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