研究課題
1.イオンモビリティ質量分析(IM-MS)とX線小角散乱(SAXS)との組み合わせ(1) 粗視化モデルからの衝突断面積の計算方法の検討シトクロームC、ミオグロビン、アルコールデヒドロゲナーゼ等の球状タンパク質について、SAXSの測定を行い、粗視化モデルを構築した。X線結晶構造から算出できる粗視化モデルも合わせて構築し、両者を比較した。そして、イオンモビリティ質量分析法で得られる衝突断面積と粗視化モデルの衝突断面積を照らし合わせて、SAXSで得られる溶液構造を解析する際、その粗視化モデルの粒子のサイズをどれ位の数値にして扱うべきか、検討した。(2) SAXSで得られる溶液構造と気相構造の違いの解析結晶化できないため原子レベルの構造が未決定のタンパク質の例として、相同組み換えのメディエータータンパク質Swi5-Sfr1とそのN末端領域欠損変異体(結晶構造既知)を用い、SAXSとIM-MSによる統合的な解析を行った。その結果、結晶化を難しくしている変性領域は、気相中で極めてコンパクトなサイズに縮まることを、衝突断面積の数値として証明することができた。2.IM-MSと分子動力学シミュレーション(MD simulation)との組み合わせ気相で溶液状態の構造が保たれる比較的"硬い"分子もあるが、1.(2)で述べたように変性している領域は、水分子が存在しない気相ではかなり小さなサイズとなってしまう。気相では変性領域はどのようにふるまうのか、MD simulationを組み合わせて解析することに着手した。
1: 当初の計画以上に進展している
研究計画で挙げていたSAXSとの組み合わせに加え、分子モデリングやMD simulationも組み合わせ多角的に研究を進めることができている。
平成24年度が最終年度に相当することから、これまでと同様に成果を論文としてまとめることを意識して研究を行う。
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