光応答的に酸素分子を発生するトキイロヒラタケ由来色素タンパク質の結晶構造解析によって、活性中心の構造と酸素発生メカニズムの解明を目指す。色素タンパク質を構築する2種類のポリペプチド鎖のうち、1種類については立体構造が解析されているので、もう一つのサブユニットを含んだ全体の構造を明らかにする。また、すでに報告されている酸素発生活性の再確認と、トキイロヒラタケ子実体から遺伝子の塩基配列の決定から試料調製、結晶化、構造解析まで行う。平成22年度は次の4点について計画していた。1. 色素タンパク質遺伝子同定と塩基配列の決定、2. 試料調製、3. 酸素発生活性測定、4. 色素タンパク質の結晶化。1についてはRNAからcDNAクローンを作成し、それを元に塩基配列の決定に成功した。2については試料調製を行い、吸収スペクトルから判断して従来と同一の物が得られることが判明した。3については現在の所、活性を示すクロマトグラフィー画分を再現性良く得ることには至っていない。また、活性に関与する電気泳動バンドを特定することが出来ていない。4については結晶化実験には至ったが、結晶は得られていない。これは3の結果がはっきりとしないため、必要なサブユニットを全て含む試料を調製出来ていないことが原因である可能性がある。従って、1と2については目的を達成することが出来たが、3と4についてはまだ完全には達成できていないため、引き続き23年度に活性に関与するタンパク質またはサブユニットの同定と結晶化を行う必要がある。
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