平成23年度までの研究で、精製試料のSDS-PAGE上で2つのバンドが現れており、これがヘテロダイマーの両サブユニットであると予想して研究を進めてきた。しかし、X線結晶構造解析の結果、結晶中には1種類のサブユニットしか含まれていなかったため、SDS-PAGE上で2つのバンドに分かれたのは精製中に分解した産物または不純物が含まれている可能性が考えられた。そこで、結晶のSDS-PAGEと再結晶化を行うと共に、大腸菌発現系を構築することでSDS-PAGEのパターンがどのようになるか調べた。その結果、結晶のSDS-PAGE上には低分子量側のバンドはほとんど現れず、大腸菌発現系によって得られた試料では高分子量側だけの単一のバンドが現れたので、高分子量側のバンドが結晶化した色素タンパク質サブユニットであることが分かった。従って、低分子両側のバンドは他方のサブユニットではなく、分解産物である可能性も考えられる。従来の結晶化条件では片方のサブユニットだけが選択的に結晶化してしまうので、両サブユニットを含む結晶化条件の検索を行ったが、得られた結晶ではすべて1種類のサブユニットしか含まれていなかった。そこで新たな結晶化条件を検討するため、市販の結晶化スクリーニングキットを用いて結晶化条件の検索を行った。その結果、従来とは異なる結晶化条件を見出した。新規結晶化条件で得られた結晶について、構造解析を行った結果、従来型と同型の結晶であり、立体構造も同様であった。
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