本研究では、ヒト由来のPLC-δ1の脂質結合部位であるPHドメイン(hPH)の脂質結合機構を解明するため、新規開発したNative-PAGEを用いた評価法により、hPHのIP3への結合活性、および熱安定性を解析した。次に溶液NMRを用いた解析で、水相でのhPHのIP3結合に伴うα2へリックス部位が関与する連鎖的な局所的構造変化を検出し、分子内相互作用ネットワークにより、hPHのリガンド結合機能が調節されていることが判明した。さらに、固体NMRを用いた解析から、hPHがPIP2を含有する脂質二重膜の表面に結合後、不均一構造を誘起することが判明し、不可逆的な脂質膜内部への挿入が示唆された。
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