自然界には、CD14としてGPIアンカー結合型のCD14と、GPIアンカーが結合していない水溶性のCD14が存在する。我々のターゲットとしているのは、GPIアンカー結合型のCD14であるが、これを直接発現、精製するのは非常に困難である。そこで、水溶性のCD14を発現、精製し、これにGPIアンカーを後ほど結合することを計画している。また、CD14は糖タンパク質であり、糖鎖がないと会合体を形成してしまうことがこれまでに報告されている。会合体を形成しないためにも、糖鎖を付加した状態での発現が可能な酵母の系で水溶性CD14を発現させ、これを精製し、CD14の膜外部分の調整方法を確立することを試みた。 (1)非標識CD14の発現と精製 ピキア株を用いて調整したコンピテントセルに、ピキアを宿主とするプラスミドpHIL-S1にCD14のDNAを組み込んだものを混ぜてエレクトロポレーション法により形質転換した。エレクトロポレーションの効率が多少悪そうではあったが、何度か形質転換をやり、出てきたコロニーで発現チェックを行った。この中から、1番発現量の多い株を選択した。この株をグリセロールストックとして保存したが、ここから立ち上げなおすとうまく発現しない事があった。 (2)非標識CD14の精製 培養後の培地の上清を用いて、ニッケルカラムでヒスタグ精製を行い、SDSページで確認した結果、精製前には沢山あったバンドが2本になり、この方法で粗精製が出来ることを確認した。また、精製されて残っているものがCD14であることを、ウエスタンブロッティングで確認した。
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