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2011 年度 実績報告書

2型ミオシンアイソフォームの細胞内動態制御の分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 22570129
研究機関北海道大学

研究代表者

高橋 正行  北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (50241295)

キーワードミオシン / 細胞運動 / 細胞骨格 / フィラメント / アイソフォーム
研究概要

2型ミオシン(ミオシンIIの2種類のアイソフォーム(IIAとIIB)が細胞内において、いかにして時空間的にフィラメントを形成し機能するのかを明らかにすることを目的とし、今年度は特に尾部が折り畳まれた10S構造と伸びた6S構造の変換の分子機構について新たな知見を得た。10S構造を形成する際に、平滑筋ミオシンにおいて調節軽鎖と結合することが報告された部位に相当する非筋細胞ミオシンIIBの部位を、10S構造を形成しない骨格筋ミオシンの相当配列に置換したキメラ変異体(IIB-NM)が、細胞が遊走する際に後方に取り残されるような挙動を示すことを昨年度に報告した。今年度は、この変異体(IIB-NM)の性質を詳細に調べた。(1)昆虫細胞発現系により調製したリコンビナントIIB-NMは調節軽鎖が脱リン酸化された不活性な状態でも、10S構造を形成するATP存在下の生理的塩濃度条件で、双極性のフィラメントを形成することがわかった。また、その際に観られたモノマーは6S構造を示していた。(2)GFP-IIB-NMとmCherry-IIB-WT(野生型)を同時に細胞に発現させ、ストレスファイバーが張っている同じ細胞内領域での挙動をFRAP法により解析したところ、GFP-IIB.NMの蛍光回復が常に遅いという結果を得た。(4)会合に重要である正電荷クラスターのP1の電荷逆転変異をIIB-NMにさらに加えた変異体IIB-NM-Plmは、細胞の遊走時に後方への極度の局在を示さなくなることがわかった。(5)IIA-NMも遊走時に前方にリクルートされにくくなるが、IIB-NMほど極度に後方に局在はしなかった。以上の結果から、遊走時にミオシンIIが前方にリクルートされるためには、モノマーになることが重要であり、10S構造はミオシンIIが不活性化時に会合してフィラメントになることを抑制する役割をもつということが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度、目的としていた以下の3点、(1)ミオシンIIAとIIBの自己認識機構、(2)ミオシンIIAとIIBの細胞内局在の分子機構、(3)細胞内での10S⇔6S変化の実態、の中で特に(3)に関して今後の研究の方向性を決められる興味深い結果が得られた。(1)と(2)に関しては、細胞質分裂時に注目し、IIAとIIBの異なる局在と、それを決める分子内領域がわかりつつある。

今後の研究の推進方策

これまでの研究によって、2種類のミオシンIIアイソフォーム(IIAとIIB)の細胞内における時空間的なフィラメント形成には、それぞれのアイソフォームのC末端領域が重要な役割をしていることと、10S⇔6S変換が適切に行なわれる必用があることがわかってきた。さらに、それぞれのアイソフォームの会合能の違いも関与している可能性があり、今後は、これらを結び付けることができる解析が必用と考えている。具体的には、それぞれの現象に関わる分子内領域の変異を組み合わせた変異体の細胞内での挙動と、in vitroにおける解析を行なう予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Enucleation of human erythroblasts involves nonmuscle myosin IIB2012

    • 著者名/発表者名
      Ubukawa, K., Guo, Y-M., Takahashi, M., Hirokawa, M., Michishita, Y., Nara, M., Tagawa, H., Takahashi, N., Komatsuda, A., Nunomura, W., Takakuwa, Y., and Sawada, K
    • 雑誌名

      Blood

      巻: 119巻(4号) ページ: 1036-104

    • DOI

      doi:10.1182/blood-2011-06-361907

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhancement of myosin 11/actin turnover at the contractile ring induces slower furrowing in dividing HeLa cells2011

    • 著者名/発表者名
      Tomo Kondo, et al.
    • 雑誌名

      Biochemical Journal

      巻: 435 ページ: 569-576

    • DOI

      10.1042/BJ20100837

    • 査読あり
  • [学会発表] 非筋細胞ミオシンIIのfolded conformationの役割2012

    • 著者名/発表者名
      高橋正行
    • 学会等名
      2012年生体運動研究合同班会議
    • 発表場所
      筑波大学(つくば市)
    • 年月日
      2012-01-07
  • [学会発表] Charge clusters in the C-terminal rod region are essential for assembly of verteorate nonmuscle myosin II2011

    • 著者名/発表者名
      高橋正行
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      2011-09-22
  • [学会発表] 非筋細胞ミオシンIIのfolded conformationの役割2011

    • 著者名/発表者名
      高橋正行
    • 学会等名
      第6回細胞運動研究会
    • 発表場所
      広島大学(東広島市)
    • 年月日
      2011-09-10
  • [学会発表] ミオシンII尾部電荷クラスターのフィラメント形成における役割2011

    • 著者名/発表者名
      高橋正行
    • 学会等名
      第6回細胞運動研究会
    • 発表場所
      広島大学(東広島市)
    • 年月日
      2011-09-10
  • [学会発表] 非筋細胞ミオシンIIのフォールディドコンフォメーション(10S構造)の役割2011

    • 著者名/発表者名
      木ト貴之
    • 学会等名
      第48回日本生化学会北海道支部例会
    • 発表場所
      札幌医科大学(札幌市)
    • 年月日
      2011-08-05
  • [学会発表] High cell adhesiveness is related to dip osphorylation of regulatory light chain of nonmuscle mvosin IIA in normal human fibroblast2011

    • 著者名/発表者名
      倉賀野正弘
    • 学会等名
      第63回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2011-06-28

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公開日: 2013-06-26  

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