研究課題
今年度は、(1)ミオシンIIの各アイソフォームの細胞内局在に関わる分子基盤と、(2)細胞内での10S⇔6Sのコンフォメーション変化の分子基盤を研究し、アイソフォーム特異的な時空間的局在の生理的意味を明らかにすることを目標とし、以下の新たな知見を得た。(1)細胞質分裂時において、ミオシンIIBのほとんどが赤道面の収縮環に局在するのに対し、ミオシンIIAは収縮環のみならず両極にも局在した。分裂後、両極へ伸展する際には、移動時のラメラに相当する両極近傍にはミオシンIIAが多く局在し、ミオシンIIBは移動時の後方に相当する中央付近に多く局在した。各アイソフォームのC末端のnonhelical tailpieceを含む60残基程度の領域を欠損した変異体は細胞質内に拡散し、このC末端領域を交換したキメラ変異体はC末端領域側のアイソフォームと同様の局在を示した。これらの結果は、間期の局在と同様に、細胞質分裂時においても、この短いC末端領域がミオシンIIの各アイソフォームの細胞内局在を決めている可能性を示唆する。(2)Kikume GRとの融合タンパク質を用いたphotoconversion法による解析を行い、10Sを形成できないミオシンIIB-SK1・2(IIB-NMから改名)変異体は、高度に細胞骨格に取り込まれてダイナミクスを失ってしまうことが示された。また、IIB-SK1・2を強制発現させた細胞においては、内在性のミオシンIIAがIIB-SK1・2が局在した後方から排除され前方のみに局在し、遊走の速度と遊走方向の持続性が増加することがわかった。本研究によって、アイソフォーム特異的な細胞内局在には、C末端領域が重要な役割を担っていることが示された。また、細胞内でのミオシンIIの10S⇔6Sコンフォメーション変化が実際に起きていて、その細胞運動過程における重要性がはっきりした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Genes to Cells
巻: 18巻(2号) ページ: 90-109
doi:10.1111/gtc.12021