研究課題
申請者は神経内分泌細胞の"ペプチドホルモンが分泌顆粒へ選別されるメカニズム"を解析する過程で、ホルモンを選別し分泌顆粒へ輸送するセクレトグラニンIII(SgIII)が高コレステロールである分泌顆粒膜に結合すること、細胞内コレステロール合成を阻害すると顆粒の形態不全が起こること、など顆粒膜コレステロールの重要性に遭遇した。本申請では、分子レベル、細胞レベル、個体レベルでのSgIII機能の解析を足掛かりに、神経内分泌組織である視床下部、下垂体、膵島での分泌顆粒形成におけるコレステロールの関与を明らかにし、コレステロー代謝とホルモン分泌のクロストークといった高次機能の解明を行うことを目標にしている。申請者は平成22年度にSgIII発現抑制細胞を解析してトランスゴルジネットワークから分泌顆粒にホルモンを輸送する経路としてSgIIが関与する経路とは別の経路が存在することを見出した。そこで平成23年度は別のグラニンタンパク質であるセクレトグラニンII(SgII)が顆粒にホルモンを運ぶか検証したところ、SgIIは顆粒膜成分のコレステロールに結合してSgIIIとは別のメカニズムで顆粒へホルモンを運ぶことを示した(論文投稿中)。一方、SgIIを欠損したノックアウトマウスの解析は、前年度に顆粒の形態不全を見出し、現在、内分泌器官からのインスリン、ACTHと云ったホルモンの分泌を検証している。またSgIIIノックアウトマウスに、高脂肪食を与え、肥満とSgIIIの関係について検証している。更に新規コレステロール蛍光プローブCholesterol-Si-perlyreneを作成し、細胞内における蛍光を観察した。現在、perlyreneに対する抗体を作成し、詳細な細胞内局在を調べている。
2: おおむね順調に進展している
SgIII欠損マウスの解析はおおむね順調である。平成23年度までに電顕レベルの解析は終わっている。平成24年度は各臓器からのホルモン分泌測定を行い、更に肥満との関係を解析予定である。また細胞レベルの解析については終わっており、論文のリバイスを行っている。
分泌顆粒膜結合タンパク質がコレステロールと結合する部位の同定を準ゆている。生化学的データは十分収集している一方で構造解析が遅れている。本学で所有しているものは300MHzと出力が低く、詳細な解析を行うには600MHzの出力を持つNMRが必要となる。現在、連携研究者を通じて理化学研究所の高出力NMRで解析を行っている。
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