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2010 年度 実績報告書

肝細胞増殖因子による癌遺伝子ID1の発現抑制と癌細胞の不可逆的増殖停止誘導の関係

研究課題

研究課題/領域番号 22570137
研究機関東京工業大学

研究代表者

田中 利明  東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (40263446)

キーワード肝細胞増殖因子 / ID1 / 転写制御 / プロモーターアッセイ / 不可逆的増殖停止 / HepG2 / 癌
研究概要

ID1は、正常細胞の分化・老化阻止因子として、また、乳癌等の原因癌遺伝子として考えられているが、その発現制御機構には不明な点が多い。本研究では、肝細胞増殖因子HGFが有する肝癌細胞株HepG2の増殖抑制作用の解析により、ID1存在量のHGF依存的な減少、およびHGFの癌細胞増殖抑制作用おけるID1の重要な役割を見出した。さらに近年、HGF刺激時間依存的にHepG2細胞の増殖停止が不可逆的に変化する新しい現象を見出した。本研究は、HGFによるID1の発現抑制機構を明らかにし、癌細胞がHGFにより不可逆的増殖停止に至る機構の解明に手がかりを得ることを目的とする。
平成22年度は、HepG2細胞におけるHGFによるID1の発現抑制機構の解析に取り組んだ。ID1の発現制御が転写レベルである結果を基に、転写開始点上流1.38Kbpまでの領域の転写活性をレポーターアッセイで調べた結果、この領域はHGFで発現抑制されず、むしろHGFで一過的に活性化されることが分かった。この1.38Kbpの領域には、乳癌細胞でID1の発現抑制を担う領域が含まれることから、HepG2細胞のID1遺伝子制御は、乳癌細胞の制御とは異なることが示された。次に、この1.38KbpにID1遺伝子の5'非翻訳領域を付加したところ、活性が1/10以下に抑制された。この5'非翻訳領域にはE-box様配列が存在したことから、ID1の発現抑制にE-boxタンパク質が係わることが示唆された。一方、この5'非翻訳領域による転写抑制はHGFの有無で変化しなかったことから、HGF応答性の制御部位が他に存在する可能性が考えられた。これらに加え、培養細胞の結果を個体レベルに展開する基礎として、ヌードマウスでのHepG2細胞による癌形成を試みたところ、炎症による癌の退縮が生じた。今後、SCIDマウスに変更して研究を進める計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Distance determination in protein inside Xenopus laevis oocytes by double electron-electron resonance experiments.2010

    • 著者名/発表者名
      R.Igarashi, T.Sakai, H.Hara, T.Tenno. T.Tanaka, H.Tochio, M.Shirakawa
    • 雑誌名

      J.Am.Chem.Soc.

      巻: 132 ページ: 8228-9

    • 査読あり
  • [学会発表] ツメガエル初期発生過程における新規CdkインヒビターInk4Xの形態形成への係わりの解析2010

    • 著者名/発表者名
      仁禮綾香、戸井田英俊、喜多村直実、田中利明
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会・日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2010-12-10

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公開日: 2012-07-19  

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