研究概要 |
接着装置Substrate-attached material(SAM)のプロテオミクス解析 SAMは、培養基質に接着した細胞をEGTA処理により剥がす際に得られる"細胞の足"のことであり、基質との接着装置を含むと考えられる。私は、このSAMに着目し、基底膜の主要細胞外マトリックス蛋白質であるラミニン-511上に形成される細胞接着装置の解析を、ヒト肺腺癌由来のA549細胞を用いて行った。その結果、このSAMにはインテグリンに加えてテトラスパニンウエッブ蛋白質(CD151,CD9,CD81,CD98,CD44,ADAM10)が多く含まれることを見出した。それに対し、接着斑関連蛋白質はほとんど検出されなかった。また、EGTA処理によるSAMの形成は、Rhoキナーゼ阻害剤Y-27632およびミオシンII阻害剤blebbistatin添加により遅延することがわかった。さらには、エンドサイトーシスを抑制するdynamin阻害剤dynasoreによっても阻害が観察された。これらのことから、SAMは、遊走細胞の尾部において観察されるretraction tailに類似していることがわかった。 ラミニン結合性インテグリンと会合するCD151に結合する蛋白質の探索 CD151-FLAG発現細胞からFLAG抗体ビーズおよびFLAGペプチドを用いてCD151-FLAGを分離し、一緒に取れてくるものをCD151結合蛋白質としてLC-MSを用いたプロテオミクス解析により同定した。その後、生化学的解析により結合蛋白質候補としてsyntaxin-6,CD98,Scamp3,calnexinを見いだした。
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