研究課題
1.エタノールアミンアンモニアリアーゼの結晶化ビタミンB12関与ラジカル酵素であるエタノールアミンアンモニアリアーゼは溶解度が低く、結晶化が困難であったが、N末端側数十残基を欠失させることで溶解度が増したので、シアノB12との複合体の結晶化条件を確立した。2.エタノールアミンアンモニアリアーゼの立体構造解析N末端側数十残基欠失エタノールアミンアンモニアリアーゼとシアノB12の複合体の結晶構造を解析し、(αβ)6のサブユニット構造を取ること、B12は塩基配位型で結合することなどを示した。また、アデニニルB12との複合体の構造も解き、モデリングにより補酵素のCo-C結合活性化機構やラジカルの基質への接近の機構を明らかにした。3.エタノールアミンアンモニアリアーゼの立体化学経路の解明2-アミノ-1-プロパノールのR体およびS体との複合体の結晶構造を解析し、モデリングによって求めた補酵素由来ラジカルの位置と合わせて、標識実験の結果を説明できる本酵素の立体化学経路を解明した。4.ジオールデヒドラターゼの基質結合金属イオンの同定ビタミンB12関与ラジカル酵素であるジオールデヒドラターゼは補酵素のアデニン部結合部位近傍と基質結合に関与する2つの金属イオンをもつ。これらはカリウムイオンと同定されていたが、後者は配位距離がカルシウムイオンに近かった。生化学実験の結果、基質結合金属イオンをカルシウムと再同定し、その役割も解明した。5.ジオールデヒドラターゼ再活性化因子の作用機構の研究ジオールデヒドラターゼ再活性化因子が複数の酵素分子から損傷コファクターを解離させることにより触媒的に再活性化することを示す証拠を得た。よって、この因子は「再活性化酵素」とも呼ぶべき酵素であると言える。また、酵素とこの因子の間の複合体形成はサブユニットスワッピングによって起こることも明らかにした。
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