研究課題/領域番号 |
22570150
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
京ヶ島 守 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (50225091)
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キーワード | ヘパラン硫酸 / 陽性荷電 / 細胞増殖 / 分化 / アポトーシス / がんバイオマーカー |
研究概要 |
我々は陽性荷電をもつヘパラン硫酸(HS)糖鎖GlcA-GlcNH3+ (JM403抗原)が、細胞の増殖・分化・アポトーシスに応じその発現パターンを変える事、その細胞質内発現は、癌の悪性度と相関する可能性が高い事を見出し、その糖鎖発現機構、細胞内局在様式、臨床的意義につき研究している。 1.JM403抗原の発現機構 一昨年度の研究から、HS糖鎖遺伝子の中からJM403抗原発現に影響を与える遺伝子としてEXT1及びNDST3が候補として挙げられたが、さらに研究を進めたところNDST3は細胞種によっては糖鎖発現にあまり影響しないものも見つかったため、最も普遍的に影響を及ぼしているものはEXT1である可能性が判明してきている。また、これまでJM403糖鎖発現は特異抗体を用いフローサイトメトリー法で検討してきたが、より定量的に測定できるよう、新たにHPLCを用い検討を行った。その結果細胞増殖期にあるJM403糖鎖抗原相当ピークはコンフルエント期のそれよりHS組成比で二倍以上変化することが判明してきている。 2.JM403糖鎖抗原細胞内局在 乳癌臨床検体を用いJM403抗原の細胞質内局在を電子顕微鏡を用い免疫組織化学的に調べた。その結果JM403抗原は意外にことにゴルジ装置ではなく小胞体に存在する可能性が示唆された。癌細胞はゴルジ装置の発達が悪いことが知られているので本結果はそのことを反映しているのではないかと考察している。 3.臨床的意義 膵癌を中心に検討した。乳癌に見られたように臨床的に悪性度の高いものについてはJM403抗原の細胞質内発現が高まる傾向がみられている。癌幹細胞マーカーとの関連ではカドヘリンの発現と逆相関する傾向がみられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞増殖、分化、アポトーシスに伴う、JM403糖鎖抗原発現の変化は、細胞種により異なる可能性が生じてきており、評価系としてどのような細胞をモデルとして用いるのがよいか、検討する必要が生じている。また、意外にもこの糖鎖が癌細胞においては小胞体に存在することが示唆されている。この結果、やや進捗が遅れ気味ではあるが、このことはJM403糖鎖発現の生物学的意義にヒントを与えるものであるとも言え、その遅れは大きなものではないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に研究推進方策に変更はない。ただ、JM403の糖鎖発現様式が細胞増殖、分化、アポトーシスに関係し変動するに際し、細胞や組織で各々特徴があることが判明しつつある。このことは当初の計画ではあまり考慮されていなかった点であるため、この点に留意して進めていく。発育過程にある胎児マウスを用いてJM403抗原発現の研究が進められている。
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