研究課題
弾性タンパク質コネクチン(タイチン)は、脊椎動物及び無脊椎動物両者の横紋筋に存在し、筋肉の構造を維持する役割をしている。コネクチンの弾性を担っている領域は、PEVKの4つのアミノ酸が全体の70%を占めるPEVK領域のみであると現在はいわれている。しかし申請者は、無脊椎動物であれば新しい弾性モチーフを持つタンパク質が存在するのではないかと考え、系統分類上で下位に位置する動物を材料に、コネクチン様タンパク質の探索を行なった。(A)ゴカイ斜紋筋のコネクチン様4000Kタンパク質環形動物ゴカイ体壁筋(斜紋筋)のcDNA libraryを用いて、これまで得られていた4000Kの配列をもとにwalkingを行ない、全体で60kbp(2200kDa)の配列を決定した。この配列を解析した結果、47アミノ酸が11回くり返されるリピート構造が見つかったため、組み換えタンパク質を作製して、二次構造予測を行なったところ、αヘリックス12%、β構造48%であった。さらに超遠心分析により非常に細長い分子であることが分った。このことは、同じアミノ酸数であっても長い距離を担える事を示しており、ゴカイ体壁筋のサルコメアが脊椎動物横紋筋に比べて2.5倍も長いことと関係していると考えられる。(B)ウニ平滑筋のコネクチン様タンパク質棘皮動物ウニのゲノム情報からコネクチン様タンパク質の配列を推定した。ウニ咀嚼筋(平滑筋)のcDNAを調製し、推定配列を基にRT-PCRにより配列を決定した結果、長いフィブロネクチンのタンデムリピートと短いスーパーリピートが存在するという、これまでのコネクチン様タンパク質とは異なったドメイン構造を持っていた。この配列に対する抗体が、ウニ咀嚼器の150万タンパク質に反応した事から、これがウニの咀嚼筋に発現しているコネクチン様タンパク質であると分かった。
3: やや遅れている
原因は2つある。1つは分子量が大きいため塩基配列の決定に時間がかかることであり、もう1つはくり返し配列が多いためにPCRで考えた位置が増幅されないことである。
現状では、時間と労力をかけて地道に進んでいくことが重要だと思うので、研究計画は特に変更しない。
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Methods
巻: Vol. 56(1) ページ: 18-24
DOI:10.1016/j.ymeth.2011.12.010
J. Mol. Biol
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DOI:10.1016/j.jmb.2011.04.010