研究概要 |
コイルドコイル構造から頭部が分かれる直前にある、よく保存された2個のロイシンの重要性を調べるため、それを削除したり他の疎水性アミノ酸に置換したりしたミュータントを作った。2個のロイシンを削除したものはアクチン活性化ATPア―ゼ活性が野生型と比べると10分の1以下に低下した。この理由として、コイルドコイル構造から突き出す頭部の方向が変わったためではないかと考えられたので、LLのすぐあとにあるグルタミンとヴァリンを削除したミュータントを作り、そのATPア―ゼ活性を調べた。同じように2個のアミノ酸を除去したので、コイルドコイル構造から突き出す頭部の方向も同じように変わっているはずである。このミュータントのATPア―ゼ活性は野生型とほとんど変わらなかったので、コイルドコイル構造から頭部が突き出す方向の問題ではないことが分かった。つぎに、LLによる疎水性相互作用が重要なのではないかと考え、それを調べるためにLLの一方あるいは両方をアラニンにしたLA, AL, AAを作りATPア―ゼ活性を比較したところ、LAの活性は野生型とほぼ同じで、ALとAAの活性は野生型の半分以下であった。したがって、ふたつのロイシンのうちN末端に近い方のロイシンが特にATPア―ゼ活性に重要であり、それが失われたことで活性が低下したのだと考えた。
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