研究概要 |
本研究では、電子顕微鏡による画像解析法を活用し、遺伝学的機能解析および生化学的解析とうまく組み合わせることで、べん毛蛋白質輸送装置のダイナミックな離合集散の分子機構を解明することを目指している。本年度の主な成果は以下に示す。 ・ fliN(V111C), fliN(V112C), fliN (V113C)変異株を作成し、これらのCys置換型FliNとFliH(W7C)あるいはFliH(W10C)との間でジスルヒィド結合が形成されるか否かを解析した。その結果、これらのCys置換型蛋白質の間でジスルヒィド結合が形成されることが明らかとなった。この結果から、FliH-FliN複合体中では、FliHの7番目と10番目のトリプトファン残基がFliNの111番目、112番目および113番目のバリン残基に非常に隣接していることを示している。 ・ FliHの7番目と10番目のトリプトファン残基の位置に光感受性のフェニルアラニン誘導体を導入しin vivoで光架橋反応を行った結果、これらのトリプトファン残基が輸送ゲート複合体の構成蛋白質であるFlhAの膜貫通ドメインに結合することが明らかとなった。 ・ 輸送装置の可溶性構成蛋白質であるFliJはFliI ATPaseのC末ドメインにあるα1ヘリックスに結合し、FliIリング複合体形成を促進した。さらに、FliI_6-FliJ複合体がFlhAの膜貫通ドメインとC末細胞質ドメインとの間に位置するリンカー領域に結合することで、FliIのATPase活性が促進されることが判明した。
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