研究概要 |
平成23年はオーレオクロームの機能メカニズムを明らかにすることを目的として、bZIPとLOVそれぞれの領域ごとの性質を調べ、以下のような成果を得た。 1. 発現・精製条件の改良:オーレオクローム1(AC1)に関して、発現と精製の条件を検討した結果、mgオーダーの翻訳領域全長のタンパク質を分解されることなく得ることに成功した。オーレオクローム2(AC2)に関しては、新たな発現系を作成してLOV領域のみの発現を試みたが、タンパク質の安定性が低く、発色団を保持したタンパク質を得ることはできなかった。 2. 部位特異的変異体の作成:AC1の光反応中間体の生成に中心的な役割を果たすと考えられているbZIPおよびLOVドメインに存在する4つのシステイン(C162,C182,C254,C283)をセリンに置換した部位特異的変異体を作成し、それらがどのような性質を持つかを解析した。C254S変異体では光反応性が消失したことから、付加物を形成するシステインがC254であることが明らかになった。また、C283S変異体はほとんど組換えタンパク質が得られないことから、C283がLOVドメインの安定性に寄与していることが示唆された。また、bZIP領域にあるC162およびC182は、AC1が2量体を形成する際にジスルフィド結合する可能性があることが明らかになった。 3. AC1の光反応とDNA結合能の解析:AC1およびその変異体に関して、分光学的な解析を行った。また、蛍光偏光度を測定する系を作成し、AC1とDNAの結合をブラウン運動の測定により定量的に示した。
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