研究概要 |
オーレオクロームの機能メカニズムを明らかにすることを目的として、平成23年度はそれぞれの領域ごとの性質を調べ、以下のような成果を得た。 1.発現・精製条件の改良 発現条件や精製のプロトコールを精査することによって、オーレオクローム1(AC1)全長を含めた組換えタンパク質を、多量にかつ安定的に得ることができるようになった。 2.部位特異的変異体の作成 AC1の光反応の暗状態への回復速度に影響を与えると考えられている4つのアミノ酸(V220,F298,V300,Q317)を置換した部位特異的変異体を作成し、それらが実際に暗回復過程に影響を及ぼすことを示した。また、塩橋を形成させるように作成した変異体(Q248E/Q289K)も作成し、性質を調べた。作成した部位特異的変異体は15種を超えている。 3.AC1の光反応とDNA結合能の解析 AC1およびその変異体に関して、分光学的な解析を行った。その結果、他のLOVタンパク質において発色団であるフラビンモノヌクレオチド(FMN)の近傍に存在するとされるアミノ酸を置換すると、光照射後の戻り反応が影響を受けることが示された。このことは、AC1が他のLOVタンパク質と同様な構造をとっていることを示唆している。また、動的光散乱を測定し、光照射によりAC1の流体力学的半径が増大することを示した。 4.光制御型転写調節システムの構築: AC1を用いて転写調節を行うためのプラスミドベクターを作成し、それを用いて予備的な実験を行った。
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