オーレオクローム(AC1)の機能メカニズムを明らかにすることを目的として解析を行い、平成24年度は以下のような成果を得た。 1. 光反応の解析: AC1翻訳領域全長(FL)、bZIP-LOVからなる組換えタンパク質(ZL)およびLOVドメインのみの組換えタンパク質(LOV)を作成して光反応を調べた結果、いずれの組換えタンパク質でもスペクトルは同等であることを示した。また、戻り反応の活性化エネルギーが約110kJ/molであることを示した。 2. 円二色性(CD)およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC): ZLおよびLOVについてCDおよびSEC測定を行い、光照射によりLOVドメインではαヘリックスが減少し、bZIP-linker部分ではαヘリックスが増加していることが明らかになった。また、LOVでは光照射による複合体形成は観測されなかった。 3. 流体力学的半径の解析: AC1およびその変異体に関して、みかけの流体力学的半径(RHapp)を測定した。その結果、濃度とともにRHappが直線的に増大することが示唆されたため、複数の濃度においてRHappを測定し、濃度ゼロに外挿して真の流体力学的半径を求めた。FLおよびZLについては、光照射によりRHの増大が見られたが、LOVでは光条件による変化は観察されなかった。このことから、光照射によりFLおよびZLの構造が変化するこが示唆された。 4.光制御型転写調節システムの構築: lacZのオペレーター領域にAC1認識配列を挿入したプラスミドベクターを作成した。また、同じプラスミド内にZLタンパク質遺伝子を導入し、ZLタンパク質の定常的発現を試みた。
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