研究課題/領域番号 |
22570164
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
橘 秀樹 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (70126118)
|
研究分担者 |
加藤 稔 立命館大学, 薬学部, 教授 (00241258)
藤澤 雅夫 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (20258065)
河野 良平 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (70569110)
|
キーワード | リゾチーム / アミロイド / 線維形成 / シーディング |
研究概要 |
ニワトリリゾチームのアミロイド線維コアの形成に関与する領域のひとつであるBペプチド(Gly54-Ser60)について、原子力間顕微鏡観察により、線維形成反応初期には高さが0.5nm程度で幅が6-13nm、長さが60-140nmの線維を形成すること、反応の進行とともに、恐らくそれらがお互いに巻きあって、高さが3nmと、高く(線維が太く)なることがわかった。また、異なるpHの条件下での、Bペプチドのアミロイド線維形成度合いのチオフラビンT蛍光モニターによる比較より、線維形成には酸性あるいは弱酸性条件が適していることがわかった。その条件下ではBペプチドの総電荷はプラスである。総電荷がゼロであっても線維形成が促進されるわけではなかった。また、総電荷がマイナスの場合は線維形成は促進されなかった。次にこのペプチドの2量体について、分子動力学計算を行い、初期凝集の様式を予測することを試みた。MMPBSA法によって結合自由エネルギーを計算したところ、モル当たりの安定化自由エネルギーは平行ベータ構造のペプチド2量体では-80kl、逆平行ベータ構造のペプチド2量体では-121 kJと、線維は逆平行ベータ構造をとることが予想された。これは自発的にアミロイド線維を形成するニワトリリゾチームSS結合欠損体での赤外吸収スペクトル解析結果からの結論と一致するものである。一方、WTリゾチームアミロイド線維をシードとして、種々の蛋白変異体を加えてクロスシーディング線維伸長反応を見る系を用いて解析した結果、seeded-growthはCys64-Cys80のSS結合の存在で促進されること、逆にCys6-Cys127のSS結合の存在で抑制されることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成ペプチドを用いたアミロイド線維形成の研究はほぼ予定どおりに進行している。 種々のSS結合欠損体を用いたアミロイド線維形成の研究は当初の計画以上に進展した。 欠損体遺伝子の作製と変異蛋白質の精製は予定より遅れている。以上、総合して、ほぼ予定通りとなっている。
|
今後の研究の推進方策 |
合成ペプチドを用いたアミロイド線維形成の研究と、SS結合欠損体を用いたアミロイド線維形成の研究では、円二色性測定による速度論的測定を進める。前者では赤外吸収測定も進める。また、ペプチドの長さを10アミノ酸残基よりも短くしたものも用い、コア形成に関与する領域をよりピンポイントして決定する。一方、欠損体遺伝子については、作成の対象を当初計画よりも絞ることにする。
|