研究概要 |
破断力測定装置を使って「キャッチ状態」におけるアクチンフィラメントとミオシンフィラメントの結合の破断力を測定するために適した実験系を構築することを試みた。二枚貝平滑筋から精製したパラミオシンやキャッチンは太くて長いフィラメントを形成し、その表面にミオシンを結合させることができる(Yamada et al.,1997,FEBS Lett.,409,380-384)。このパラミオシンの太いフィラメントの表面にミオシンとtwitchinを結合させたものを光学顕微鏡用カバーガラス表面に吸着させ、ガラス微小針に保持したアクチンフィラメントを相互作用させられれば、ガラス表面の影響を受けずに「キャッチ状態」の結合の破断力計測が可能となると考えられるので、このような実験系を確立した。 また、この「キャッチ状態」の結合にはミオシン頭部は必要がないということを示唆する実験結果が海外の研究グループによって報告されており(Andruchov et al.,2005,J.Exp.Biol.,209,4319-4328;Butler et al.,2006,Biophys.J.,90,3193-3202など)、この検証にも本実験系が有効であると考えられた。キャッチンはミオシン重鎖の遺伝子から作られる、いわば頭部のないミオシンであることが分かっている(Yamada et al.,2000,J.Mol.Biol.,295,169-178)。そこで、ミオシンの代わりにキャッチンを用いた場合にもtwitchinのリン酸化状態依存的な結合が生じたため、結合そのものにはミオシン頭部は必須ではない事が確かめられた。
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