研究概要 |
NF複合体やのc-fosプロモーター以外への関与を明らかにするため、C3H10T1/2細胞を血清で刺激し、c-fos以外の遺伝子の転写活性化を検討した。NF複合体やhnRNP RをsiRNAでノックダウンすると、c-fosと同様にegr-1、c-junなどでも転写活性化の減少がみられた。一方junD、tubulin、actin、rRNA遺伝子、5SRNA遺伝子などの転写活性化では影響が見られなかった。また、血清以外に、EGFやPDGFなどの成長因子、anisomycinなどの細胞ストレス刺激を用いてc-fos遺伝子などの転写活性化を検討すると、NF複合体は成長因子による転写活性化には作用するが、anisomycinなどの細胞ストレスによるc-fosの転写活性化とは無関係であることが分かった。また、NF複合体と同様に作用するhnRNP R (heterogeneous nuclear ribonucleoprotein R)についても解析を行った。hnRNP Rはin vitro転写系において4種類のアクチベーター(SRF, Elk-1, CREB, ATF1)と共にc-fos遺伝子プロモーターからの転写を活性化た、既知のコアクチベーターであるPC4やメディエーターと協調的に転写を促進することが明らかとなった。特に、hnRNP Rはメディエーターと協調して1度目の転写のみならず2度目の転写も顕著に促進し、CDK8を含むサブモジュール(CDK8, Cyclin C, MED12, MED13)がメディエーターとhnRNP Rによる転写促進に抑制的に作用することがわかった。
|