本年度は、Topoisomerase1 (Top1)のmRNAに結合する蛋白質の同定を進めた。 4-thiouridine (4-SU)を用いたRNA-IPや、BrUを用いたプローブラベルによるトラップ実験の結果、AU-rich配列に結合しやすい蛋白質の一種がTop1の3'UTR領域に結合するらしいことが伺われる結果が得られた。すなわち、4-SUと365nm UV照射の組み合わせによりthymineがcytosineに変換される変異が3UTRのAU-rich配列に比較的局在して認められた。また、3'UTRの中で、特異的に同蛋白質と結合する部位をin vitroによっても決定するため、3'UTRの一部をコピーしたBrUラベルプローブにより、同蛋白質がやはりAU-rich配列に選択的に結合することが示された。 同蛋白質のノックダウン実験によりIgAの発現率(クラススイッチ)やTop1蛋白質の新生に実際に影響が認められた事から、この蛋白質の結合はin vitroでの反応にとどまらず、生物学的意義を持つことが疑われたが、AIDがこの蛋白質とどのような関連を持ってTop1の翻訳に影響するのか、については未だ不明であり、現在この点について解析をすすめている。microRNAがAIDに編集される結果、Top1 mRNAの翻訳が半減されることを想定しており、Ago2蛋白質によるRNA-IPを行っている.
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