本年度は、Topoisomerase1 (Top1) のmRNAに結合するAgo2の結合部位について同定を進めた。4-thiouridine(4-SU)を用いたRNA-IPにおいては、Top1の3'UTRの2カ所にAgo2の結合が認められ、そのうちの一カ所はAIDに依存せず、AIDの非誘導時にもAgo2の結合が認められたが、coding regionにより近いもう一カ所はAIDに依存性であり、非誘導時にはゼロレベルだが、誘導時には比較的高い結合が認められた。それに一致して、BrUを用いたプローブラベルによるトラップ実験の結果、3'UTRとcoding領域の末端に、Ago2の結合部位が認められた。AIDに非依存性のAgo2結合部位にて機能すると予想された4つのmiRNA(これらはいずれも共通するseed配列を持つ)のノックダウン実験や過剰発現実験は、実際にクラススイッチに対して予想される効果を持ち、これらが生体内で機能していることが伺われた。また、AIDに依存性のAgo2結合領域にて機能するmiRNAは現在同定中である。また、Ago2と協調して働くTNRC6aのノックダウンによりクラススイッチが抑制され、miRNAによるTop1mRNAの翻訳修飾効果は確実なものであると考えられる。 また、上記の結果をふまえ、Luciferase assayにより、このTop1 mRNA領域の翻訳抑制機序を再現できるassay系を構築している。
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