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2011 年度 実績報告書

細胞機能からのアプローチによるヒストンメチル化制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22570176
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

林 亜紀  独立行政法人理化学研究所, クロマチン動態研究チーム, 研究員 (80399534)

キーワードヘテロクロマチン / RNAi機構 / ヒストン修飾 / HP1
研究概要

多様な遺伝子の発現制御は生物において発生過程に必須なメカニズムであり、また個体維持においても非常に重要な分子機構である。特にエピジェネティックな発現制御機構はDNAメチル化修飾やピストン修飾が引き起こすクロマチンの構造変化によって、生体の特異的組織や細胞ごとに異なる多様な発現を制御する重要な機構である。分裂酵母を用いたエピジェネティックな遺伝子発現制御機構の解明を目的として、前年度までに遺伝学的スクリーニングとして、ヘテロクロマチン領域にマーカー遺伝子を挿入した株を用いてゲノムに変異を導入し、サイレンシング異常を示す変異体の単離を行った。このスクリーニングによって得られた変異体のうち、ers1変異体について遺伝学的また生化学的な解析をおこなった。遺伝学的解析からers1変異体のサイレンシング異常を部分的に相補するサプレッサーとしてRNAヘリケースHrr1とピストンH3K9メチル転移酵素Clr4の二遺伝子を同定した。この二遺伝子はRNAi機構とヘテロクロマチン形成機構に関わる因子であり、Ers1はRNAi機構とヘテロクロマチン形成機構をつなぐ因子であることが示唆された。続いてErs1とサプレッサーとの結合を調べるために、酵母ツーハイブリッド法と免疫沈降法を用いてErs1とHrr1が結合することを示した。またErs1とClr4との結合は検出できなかったが、Clr4によってメチル化されたH3K9に結合し、種間で保存されているヘテロクロマチン蛋白質HP1がErs1と結合することがわかった。これらの結果よりRNAi機構がHP1を介してヘテロクロマチン形成に働く経路があることを示した。この結果はヘテロクロマチン形成のメカニズムを解明する上で大変重要な発見であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

スクリーニングから得られたers1変異体のサイレンシング異常を部分的に相補するサプレッサーを遺伝学的に同定することができ、この結果からErs1と結合する因子の同定と機能解析に繋がった。

今後の研究の推進方策

前年度のErs1因子の解析結果を論文にまとめ、成果発表をおこなう。引き続いて遺伝学的スクリーニングから得られた因子の解析をおこない、さらに酵母ツーハイブリッド法によって得られた因子との相互作用因子をスクリーニングする。これらの解析から得られた結果を元にさらに詳細なRNAi機構とヘテロクロマチン形成機構との相互メカニズムの解明を目指す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] HP1/Swi6はErs1を介してRNAi機構によるヘテロクロマチン形成を促進する2011

    • 著者名/発表者名
      林亜紀
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2011-12-15
  • [学会発表] Ers1 links heterochromatin and RNAi machinery2011

    • 著者名/発表者名
      Aki Hayashi
    • 学会等名
      The Sixth International Fission Yeast Meeting
    • 発表場所
      Harvard Medical School (Boston, U.S.A.,)
    • 年月日
      2011-06-26

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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