研究課題/領域番号 |
22570183
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
細川 暢子 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (00263153)
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キーワード | 小胞体 / 小胞体関連分解 / ユビキチンリガーゼ / タンパク質品質管理 / HRD1-SEL1L |
研究概要 |
小胞体では多くの分泌タンパク質や膜タンパク質の生合成が行われる。特に多細胞生物では、細胞接着や細胞間コミュニケーションをおこなうために多様な膜タンパク質や分泌タンパク質を生合成する必要がある。ところが生合成の過程で、タンパク質はしばしば高次構造形成に失敗することが明らかになってきた。小胞体関連分解機構(ERAD)は、小胞体内でミスフォールドしたタンパク質をサイトゾルに引き出し、ユビキチン・プロテアソーム系で分解するシステムである。哺乳類小胞体膜に存在するユビキチンリガーゼHRD1はSELILと複合体を形成し、さらに種々のERAD関連分子とともに大きな品質管理複合体を小胞体膜上に形成している。本研究において、哺乳類HRD1-SEL1L複合体の安定性およびその制御機構ならびにHRD1-SEL1Lを含む品質管理複合体の形成状態と基質分解機能との相関関係を調べた。その結果、出芽酵母の場合とは異なり、SEL1Lは半減期の短い不安定なタンパク質であるがHRD1と複合体を形成することによって細胞内で安定に存在すること、HRD1-SEL1L複合体の細胞内存在状態は複数存在しダイナミックに複合体形成状態を変化させることでミスフォールドしたタンパク質の分解を制御している可能性があることを明らかにし、論文として発表した。引き続いてHRD1-SEL1L複合体に存在するレクチンXTP3-Bの機能および安定性、SEL1L自身の安定性がどのように制御されているかについての研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
哺乳類HRD1-SEL1Lユビキチンリガーゼ複合体の安定性および基質分解に対する機能を解明し、論文として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、HRD1-SEL1L、ユビキチンリガーゼ複合体に存在するレクチンXTP3-Bの機能および安定性、およびSEL1L、自身の安定性がどのように制御されているかについての研究を進めている。現在のところおおむね順調に進展しており、当初の研究計画に従って研究を進めていく予定である。
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