前年度までの結果を踏まえて引き続き、MLF1-CSN-COP1経路がどのように細胞周期抑制およびオートファジーに関わるのか、相互調節機構が存在するのかについて検証することを目的とした。 また、前年度までの研究により、COP1には細胞内局在の異なるいくつかのsplice variantsが存在することを見いだした。これらは機能的にも異なると予想され、splice variantsを含めより詳細な解析を行った。 1.細胞周期抑制およびオートファジーにおけるCOP1の役割の解析:COP1の解析の過程で、COP1には細胞内局在の異なるいくつかのsplice variantsが存在し、核内局在を示すsplice variantsは野生型に対してオートファジーにおいて抑制的に働くことを見いだした。さらに、COP1過剰発現細胞では、紫外線照射によるオートファジー誘導能は著しく阻害され、ヌードマウスへの移植により腫瘍が形成されたことから、COP1はオートファジーを抑制することにより、細胞増殖を促し発がんに至ると考える。 2.細胞周期抑制およびオートファジーにおけるCOP1のドメイン解析:E3ユビキチンリガーゼ活性を欠失したCOP1変異体では上記1のCOP1による腫瘍形成促進能は消失することから、COP1はオートファジー促進因子を標的として分解促進に導くと予想できた。COP1は細胞質内において紫外線照射後にFIP200と相互作用することを確認した。
|