上皮細胞におけるβカテニン結合タンパク質の探索を行うため、前年度までに作成したβカテニン・Eカドヘリン二重欠損F9細胞に、βカテニンを発現させたところ、予想と反して、非上皮細胞においてEカドヘリン以外のβカテニン結合タンパク質が存在している可能性が示された。上皮細胞でのβカテニン結合タンパク質を同定するには、この非上皮細胞におけるβカテニン結合タンパク質の同定が必要と考えられた。今年度は、βカテニン・Eカドヘリン二重欠損細胞にβカテニンやカドヘリン-βカテニン融合タンパク質を発現させて、非上皮細胞における、カドヘリン以外のβカテニン結合因子の同定を試みた。しかし、タンパク質の発現量が低いためか、特異的なタンパク質を同定するまでには至らなかった。一方で、Eカドヘリン以外のβカテニン結合因子として想定されるTypeIIカドヘリンのF9細胞での発現を検討した。DNAチップ解析や文献上、カドヘリン6とカドヘリン11の発現の可能性が考えられた。これらのTypeIIカドヘリンのcDNAを取り寄せ、F9細胞に発現させたところ、外来性カドヘリン6とカドヘリン11は検出できたが、内在性の物は検出できなかった。RTーPCRを用いた解析においても、内在性のカドヘリン6とカドヘリン11の発現は検出レベル以下であった。これらの結果から、F9細胞にはTypeIIカドヘリン以外のβカテニン結合タンパク質が存在している可能性が高くなった。
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