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2011 年度 実績報告書

小胞体膜ドメイン形成機構のライブイメージング解析

研究課題

研究課題/領域番号 22570194
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

黒川 量雄  独立行政法人理化学研究所, 中野生体膜研究室, 専任研究員 (40333504)

キーワード小胞体 / ERES / COPII
研究概要

小胞体は、分裂と融合を繰り返す動的なオルガネラである。小胞体は、連続した膜構造を持つにもかかわらずシート状とチューブ状の形態的に異なる構造を持つとともに、独立した機能を有するいくつかのサブコンパートメントを含んでいる。サブコンパートメントには、種々のオルガネラや細胞膜を構成するタンパク質群および分泌タンパク質群が合成される場である粗面小胞体、脂質の供給や毒物の代謝の場である滑面小胞体に加えて、近年明らかになってきた輸送小胞の出芽領域と考えられる領域や、小胞体で合成された変異タンパク質を留めておく領域などがある。本研究では、形態的な違いにより分布が異なるタンパク質群と機能的に異なるタンパク質群をそれぞれ蛍光タンパク質で可視化し、多色同時ライブイメージングによってそれらタンパク質の局在を明らかにし、機能欠損株での解析を組み合わせることで、形態の違い(シートとチューブ)が機能領域(輸送小胞の出芽領域)の形成へどのように関与しているかを明らかにしていく。
出芽酵母のCOPIIコートタンパク質Sec24p、Sec13p、Sec31pおよびSec16pは、輸送小胞の出芽領域ERESに共局在し、融合拡散を繰り返していることを明らかにした。また、ERESには、Sar1GTPaseも集積した。次に小胞体形態(シート状とチューブ状)に依存して局在するタンパク質群とERESの局在を比較した。ERESは、主にシート状小胞体に局在するSec12とはあまり共局在が見られなかったが、チューブ状小胞体やシート状小胞体の縁に局在し、膜の曲率を維持するReticulonタンパク質と共局在を示した。小胞体膜の曲率を維持するタンパク質を多重で欠損する株では、シート状小胞体は肥大化し、ERESが一部残った小胞体の高い曲率領域に集積したことから、ERESの局在に小胞体形態(膜曲率)が重要であることを見出した。さらに、詳細に小胞体形態を解析した結果、ERESは主に小胞体の馬鞍形領域に局在することも明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までの解析により、当初の目的である小胞体形態(小胞体膜の曲率)が機能領域(ERES)の分布に重要であることを明らかにでき、論文として発表出来た(J. C. S. in press)。

今後の研究の推進方策

来年度は、以下を解析していくことにより、小胞体膜形態と機能の関係性についての研究を進展させる。
1)ERESの新規形成時や集積拡散への小胞体膜の曲率の影響
2)小胞体膜の曲率によるSar1ダイナミクスへの影響の解析

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] High-curvature domains of the ER are important for the organization of ER exit sites in Saccharomyces cerevisiae

    • 著者名/発表者名
      Michiyo Okamoto, Kazuo Kurokawa, et al
    • 雑誌名

      Journal of Cell Science

      巻: (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] イメージング技術で迫る出芽酵母のメンブレントラフィック2011

    • 著者名/発表者名
      黒川量雄
    • 学会等名
      大阪大学大学院生命機能研究科第74回研究交流会
    • 発表場所
      大阪大学(大阪府)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-18
  • [学会発表] 酵母ERESは、小胞体膜の高い曲率を持つ領域に局在する2011

    • 著者名/発表者名
      黒川量雄、岡本美智代、中野明彦
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2011-09-22
  • [学会発表] ゴルジ体ダイナミクスのイメージング解析2011

    • 著者名/発表者名
      黒川量雄、中野明彦
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第44回研究報告会
    • 発表場所
      九州大学(福岡県)
    • 年月日
      2011-09-07
  • [学会発表] ER-Golgi輸送のイメージング2011

    • 著者名/発表者名
      黒川量雄
    • 学会等名
      第12回理研・分子研合同シンポジウム エクストリームフォトニクス研究
    • 発表場所
      理化学研究所(埼玉県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-06-30
  • [学会発表] COPIIコートタンパク質とゴルジ体の局在とダイナミクス2011

    • 著者名/発表者名
      黒川量雄、中野明彦
    • 学会等名
      第63回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道)
    • 年月日
      2011-06-27
  • [学会発表] Localization and dynamics of COPII coat proteins and Golgi in S.cerevisiae2011

    • 著者名/発表者名
      黒川量雄
    • 学会等名
      「奈良先端未来開拓コロキウム」公開シンポジウム
    • 発表場所
      奈良先端科学技術大学院大学(奈良県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-05-30

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公開日: 2013-06-26  

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