研究課題
エレクトロポレーションを用いた視神経線維のラベル法により、最初から視蓋の深層を走る線維が見つかったが、そのことに関して論文として発表した。層構築に関しては当初Er81の役割を追求する予定であり、Er81の強制発現により、Er81発現細胞はPalvalbumin発現ニューロンへと分化することを示した。しかし、Er81発現細胞は神経上皮にトラップされ、層形成の研究は困難であった。そこで、E10頃の視蓋に層特異的に発現する分子を調べ直したところ、engrailed (En)がSSGFSのg-i層に特異的に発現しており、semaphorinとneuropilinが相補的な関係で発現していることがわかった。En2は網膜線維の投射にも関係していることが示唆されているので、層形成、投射形成の両面を解析する目的でEn2の強制発現実験を行った。発生初期にEn2を強制発現すると、視蓋が後ろとしての性質を獲得してしまうので、Tet-onにより、E8ころに発現するようにした。En2を強制発現すると、視蓋の表層にengrailed発現細胞がみられないことから、投射の解析は難しかったが、組織切片を作成して、En2発現細胞の占める位置を調べたところ、表層にはEn2強制発現細胞は存在しなかった。E8頃にEn2は視蓋のSGFS, h-j層で発現していることから、En2が視蓋の層形成に関わっているということを想定して、半年の繰り越しを申請し了承された。En2をE1.5トランスフェクトし、Tet-onによりE8にEn2を発現させ、スライスカルチャーによりEn2発現細胞を観察した。視蓋表層でEn2の発現を開始すると、その細胞はh-j層に戻っていったことから、En2が視蓋層構築に関与していることが示され、論文準備中である。
2: おおむね順調に進展している
En2が網膜視蓋投射形成に関して、鼻側網膜線維を吸引する役割を果たしているのではないかという過程で開始した研究であるが、En2は視蓋の層形成に関与しているという新たな発見をした。本研究課題により、視神経線維の一部は最初から視蓋深層を走るという新たな発見をした。
En2の視蓋層構築に関する研究ではもっぱらEn2の強制発現システムで行ったが、En2のノックダウン実験により確実な結論を得ることができるが、定年により実現できないのは残念である。
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