研究課題
floxed Sbno1変異マウスにEmx1-Creドライバーマウスをかけあわせて、大脳皮質領域に特異的にSbno1欠損マウスでは大脳皮質が失われる。このマウスで、胎生期11日目、12日目、13日目、14日目に免疫組織学的解析を行った結果、ニューロン分化が正常よりも早期に開始し、直ちに神経幹細胞が枯渇する事が分かった。更に分化したニューロンはTUNELやactive Caspase3陽性となる事からアポトーシスが起きている事が明らかとなった。この様な細胞死はDNA修復機構の異常によって起こる事が報告されている事から、DNA修復へのSbno1欠損の影響を調べるためにγH2Axの発現を調べた。この分子は損傷を受けたDNA部位を標識するが、DNA修復機構が働かない場合、γH2Axの発現が維持される。しかし、Sbno1欠損胚ではγH2Axの発現が正常と違いが見られなかった。次に細胞死を起こす原因として癌抑制因子であるp53の発現を調べた。p53の発現はSbno1変異マウスで劇的に増加していた。p53タンパクは細胞内では分解制御を受けている。p53の分解を抑制する因子として脱ユビキチン化酵素Otub1が知られている。一方で我々はyeast two hybrid法によってSbno1結合因子の候補としてOtub1を単離している。そこで、Otub1の発現へのSbno1欠損の影響を調べたが、入手できた抗Otub1抗体では内在性のOtub1を神経組織で検出する事は出来なかった。Otub1の大脳皮質発生における働きを調べるためにin utero electroporation法によってOtub1過剰発現を行った。Otub1過剰発現によってニューロン分化が亢進した事からSbno1はOtub1機能を介してニューロン分化に影響を与えている事が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)
Development, Growth & Differentiation
巻: 54(2) ページ: 253- 263
doi:10.1111/j.1440-169X.2012.01327.x.
Kobe Journal of Medical Sciences
巻: 58(3) ページ: E86-95
東北医学雑誌
巻: 124巻 1号 ページ: 82-84