(1)クエン酸合成酵素のミトコンドリア外での分布と挙動の解明 アフリカツメガエルの初期胚細胞周期において、クエン酸合成酵素のミトコンドリア外の細胞質中での分布と挙動を明らかにする。これまで、高分子型分子が細胞周期の間期には核に、またM期には紡錘体付近に分布していることがわかってきたが、抗クエン酸合成酵素抗体を用いた蛍光抗体法と共焦点レーザー顕微鏡による詳細な観察をおこない、その分布と細胞周期中での挙動を明らかにした。さらに、実際に生きた細胞内での挙動を確かめるため、GFP蛍光タンパク質を融合させたクエン酸合成のmRNAを受精卵に注入してGFP融合タンパク質を発現させ、遠心による透明化割球イメージングシステムを用いた観察により、細胞内での挙動を生きた細胞で詳細に観察し、核と紡錘体での分布を証明した。 (2)クエン酸合成酵素の初期胚発生における機能の解明 アフリカツメガエルの初期胚では、MBT期まではS期とM期からなる短い細胞周期をもっているが、その後、細胞の大きさの減少によりS期の伸張し、G2期とG1期が出現して体細胞型周期となり、細胞分化と形態形成が始まる。細胞質型クエン酸合成酵素の初期胚での発現を、特異的にタンパク合成を阻害するアンチセンス・モルフォリノオリゴを用いて低下させた。また、mRNAの注入によって発現を増加させて発生での機能を調べた。とくに、細胞周期転換と原腸胚形成における機能を明かにした。さらに、抗クエン酸合成酵素抗体と細胞抽出物を用いた免疫沈降法とSPR型分子間相互作用解析システムにより、細胞質中でクエン酸合成酵素と相互作用している分子、とくに細胞骨格分子を一部同定し、さらに検討を続けている。
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