これまでに、Xwnt8タンパク質が、Xwnt8 mRNAを注入した細胞の子孫だけに存在すること、それは小胞体に存在すること、小胞体貯留シグナルKDELを付加してもXwnt8の背側化活性はなくならないことなどを明らかにしてきた。この2年ほどは、mRNAを注入された細胞だけで背側化が起こるのかを、細胞追跡とin situ hybridization(オーガナイザー因子のchordinの発現を観察)を組み合わせて調べようとしてきた。 細胞追跡のためには初期には核移行シグナルをもつbeta-galactosidase mRNAを用い、Red-galを用いた酵素反応でこれを検出した後にchordinの発現をin situ hybridizationによって調べようとした。しかしながら、これは条件の設定が難しく、Red-galの発色自体がin situ hybridizationの発色反応を阻害することもあって、一貫した結果が得られなかった。そこで、Oregon Green Dextranを抗体によって検出し、抗体に付加されたアルカリ性フォスファターゼでFast redを発色させるという方法によって、注入細胞とchordin発現細胞を検出することを試みている。注入するOregon Green DextranとXwnt8 mRNA濃度を最適化させることで、これらの検出が再現性よく行えることがわかってきた。
|