研究課題
ホヤのOtx遺伝子の転写調節機構の解析:ホヤ幼生の中枢神経系の領域化に関わると想定されている発生遺伝子の前後軸に沿った発現パターンは、脊椎動物との間で保存されている。中枢神経系前方で発現するOtx遺伝子については、GFPレポーターの蛍光を指標にした先行研究で見出されていたマボヤ、カタユウレイボヤの原腸胚期以降の脳胞細胞系譜でのエンハンサーとその活性に重要な転写因子結合部位を、GFP mRNAを指標として調べ直した結果、これまで不明であったカタユウレイボヤの尾芽胚期脳胞での発現を再現するエンハンサーを、翻訳開始点の上流約2.8-3kbに見出した。さらに、このエンハンサーが後期原腸胚期から初期尾芽胚期まで、脳胞の系譜で働くことを見出した。軸形成関連の発生遺伝子に関する解析:発生の過程でみられる非対称性に関する研究が、ホヤを用いて行われている。カタユウレイボヤでは、尾芽胚期に左側の表皮で特異的にNodal遺伝子が発現する。左側特異的Nodalシグナリングの新規下流遺伝子であることが明らかにされた目の形成に必須なホメオボックス遺伝子Ci-Rx の転写調節について、Nodalシグナリングによる負の制御に必要な領域を特定する方法を工夫し、Rxの転写抑制領域を翻訳開始点の上流0.7kbにまで狭めた。マボヤのHox遺伝子に関する研究:ホヤ綱を構成する二つの目のうち、カタユウレイボヤとは異なる壁性目に属するマボヤでは、カタユウレイボヤと同じ9個のHox遺伝子が、カタユウレイボヤの場合とは異なって一つの染色体にあることを2色の染色体FISHにより明らかにしてきたが、さらにBACライブラリーを用いた染色体歩行を行って、Hox1を除く8個の遺伝子の並び順を、ホヤで初めて明らかにした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Development Growth & Differentiation
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