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2011 年度 実績報告書

脊椎動物新奇付属器官の発生を制御するDlx3遺伝子コオプション進化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22570218
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

隅山 健太  国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助教 (00370114)

キーワード組織特異的エンハンサー / トランスジェニックマウス / 進化発生 / 転写制御 / Dlx遺伝子 / evo-devo
研究概要

(1)転写因子結合配列予測に基づく変異導入コンストラクト作製
前年度でデータベース登録配列および予備実験で配列決定した海獣類哺乳類ゲノム配列を含むすべてのゲノム配列アラインメントを用いて、ERA法により哺乳類に特異的に保存しているモチーフを抽出し、哺乳類特異的な付属器官(毛胞)組織特異性を決定している因子である可能性がある5モチーフに変異を導入したI37-1コンストラクトをデザインし、PCRをベースとした方法で変異導入コンストラクト作製を行った。当初計画のこの方法による作成方法が時間を要するため、途中から外注による全DNA合成法を併用し、最終的に5コンストラクトを作製できた。さらに、祖先型配列の機能を推定するために、シーラカンスおよびヌタウナギ配列についても全DNA配列を合成し、制限酵素で切断しTol2トランスポゼースによる組み込みを可能にするベクター(pT2A-HL)にクローニングを行った。コンストラクトが用意できたため、今後Tol2を用いたトランスジェニックマウス作製系で機能解析する予定である。
(2)新規Dlx3-4遺伝子クラスター組織特異的エンハンサーの探索
ヒストンコードのChIP-seq解析データにより、脊椎動物種間で保存性が高くはないが遠位エンハンサーとして働いている可能性がある領域として前年度発見されたDlx4遺伝子の上流に胎盤での発現に関与する可能性がある領域について、トランスジェニックマウス系で解析し、そのエンハンサー活性を明らかにした。この配列はTheria共通に保存する領域と、Eutheriaのみに保存する領域に分かれ、Theria共通に保存する領域のみではエンハンサー活性が示されなかったが、両者を含む領域では胎盤となる領域に強い発現活性が見られた。この配列中には転写因子結合配列があることがわかっており、今後その機能解析を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

変異導入コンストラクトの作成は計画より時期はやや遅れたものの、予定した種類のコンストラクト作製が完了した。さらに、当初予定からの発展として胎盤特異的なエンハンサー配列を同定することに成功し、こちらの解析を並行して進めることができた。

今後の研究の推進方策

これまでに作製したDlx3-4-137-1変異導入コンストラクトを順次トランスポゼースを用いた高効率トランスジェニックマウス解析法により機能解析していく予定である。PCR合成を当初予定していたが作製が困難であった一部コンストラクトに関しては、コストが下がり利用しやすくなった人工遺伝子合成(長鎖DNA合成)サービスを利用し、解決することができた。また新規に胎盤のエンハンサーが同定されたため、こちらについても解析を進めて行く予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A living fossil in the genome of a living fossil : Harbinger transposons in the coelacanth genome2012

    • 著者名/発表者名
      Jeramiah J.Smith
    • 雑誌名

      Molecular Biology and Evolution

      巻: 29 ページ: 985-993

    • DOI

      doi:10.1093/molbev/msr267

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Loss-of-function mutation in a repressor module of human-specifically activated enhancer HACNS12011

    • 著者名/発表者名
      Kenta Sumiyama
    • 雑誌名

      Molecular Biology and Evolution

      巻: 28 ページ: 3005-3007

    • DOI

      doi:10.1093/molbev/msr231

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Mammalian Conserved Element Derived from SINE Displays Enhancer Properties Recapitulating Satb2 Expression in Early-Born Callosal Projection Neurons2011

    • 著者名/発表者名
      Kensuke Tashiro
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 6 ページ: e28497

    • DOI

      doi:10.1371/journal.pone.0028497

    • 査読あり
  • [学会発表] Evolution of cis-regulatory elements in the vertebrate Dlx bigene cluster system2011

    • 著者名/発表者名
      Kenta Sumiyama
    • 学会等名
      Symposium of Genomic Conservation and Diversity of Organisms
    • 発表場所
      Tainan, Taiwan(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-10
  • [学会発表] Toolkit genes, cis-regulatory modules, turnover, and evolvability2011

    • 著者名/発表者名
      隅山健太
    • 学会等名
      第1回Tokyo Vertebrate Morphology Meeting
    • 発表場所
      東京(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-10
  • [学会発表] 胎盤形成に関与するDlx4遺伝子の獣亜綱(Theria)特異的なタンパク質コード領域および転写制御領域における分子進化と機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      隅山健太
    • 学会等名
      日本進化学会第13回大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011-07-30
  • [学会発表] Theria-specific evolution in both coding and noncoding region of the Dlx4 gene2011

    • 著者名/発表者名
      Kenta Sumiyama
    • 学会等名
      SMBE 2011
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011-07-27
  • [図書] 生物機能モデルと新しいリソース・リサーチツール第6節新しい生殖工学技術第4項トランスポゾンを使った新しい高効率トランスジェニックマウス作製法2011

    • 著者名/発表者名
      隅山健太
    • 総ページ数
      656-658
    • 出版者
      エル・アイ・シー

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公開日: 2013-06-26  

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